キャリア理論って誰のモノ?① #キャリア的視点 548

こんにちは(^^) キャリアコンサルタントのひだです。今日のテーマは「キャリア理論」です。

キャリア理論と言われても、キャリアに関して意識をしていない方には「???」となってしまうでしょう。でも、キャリアとは私たち一人ひとりがそれぞれに持っていて、自分自身で開発していくものです。他の誰でもない私自身の為に、です。
キャリア理論はたくさんありますが、そのメジャーどころの一部を今週一週間、5回に分けて紹介していきたいと思います。

さぁそれでは第1回目、日常に潜むキャリアの種を感じていきましょう。読了時間は3~5分です。

キャリア理論って何?

キャリアコンサルタントなら養成講座などで勉強をしてきているのでしょうが、ここではキャリアって?という方も多いという体で敢えて少し説明的に書かせていただきます。

まず最初はキャリアに関する理論ではありません。
19世紀末のウィーンの医師、フロイトが【精神分析】を創始しました。フロイトは転換ヒステリーの治療を通してこの理論に至ります。転換ヒステリーとは「身体には何も異常がないのに、精神の問題が身体の異常として転換される」事をいいます。例えば「夫の暴力に耐えかねた婦人が夫の言葉だけ聞こえなくなる」といった耳の症状がみられる様です。詳しい事は端折りますが、これを精神疾患の治療に用いたのが【精神分析療法】です。
精神分析からは数々の理論が展開されました。「局所論」「リピドー理論」「心理-制発達理論」「構造論」「力動論」「防衛機制」などがそうです。

しかしこの辺りはまだキャリア理論とは言われません。このフロイトの精神分析療法はどちらかと言えば医療行為の一端から派生したものです。

今日は初回として、スーパーからホランド(紹介の順は逆ですが)を簡単に紹介していきます。

ジョン・L・ホランド

初期のキャリア理論は「職業選択」が母体でした。今の日本がまさにそれですね。
ジョン・L・ホランドが提唱した「ホランドの六角形」、及びそれを利用した「スリーレターコード」などは広くマッチングの現場に未だに利用されています。

ホランドの六角形とは

  • 現実的(Realistic)
  • 研究的(Investigative)
  • 芸術的(Artistic)
  • 社会的(Social)
  • 企業的(Enterprising)
  • 慣習的(Conventional)

ひとつひとつのタイプに貴賤はなく全てが平等です。その頭文字を取ってRIASEC(リアセック)などと呼ばれたりもします。
人の興味領域は、これらのどれか一つに最も強く現れ、その左右の領域にも派生する(スリーレターコード)と言われます。例えば技術職(エンジニアなど)は現実的興味が色濃く出るケースが多い様です。企業の経営者は協業的興味、接客が得意な人は社会的興味と言った感じですね。

このRIASECやスリーレターコードを使用すれば、適した職に就きやすい、と言われています。

文科省の学習指導要領によって小学校では2020年、中学校2021年、高校2022年に改定(予定)では、「将来の夢」=「職業」という考え方が薄れたようですが、現代日本の労働市場では未だに【職業】を母体にマッチングが横行しています。しかも職業経験だけでのマッチングです。RIASECなどはほとんど使用されていません。少々乱暴な例えですが、日本のキャリア社会は未だにアメリカの40年前にすら至っていないといっても良いのだと思います。

ドナルド・E・スーパー

しかし、ホランドより先に、そのホランドの理論のきっかけを与えたとされるのが、ドナルド・E・スーパーです。氏が提唱した

  • 自己概念
  • 職業的自己概念
  • ライフステージとライフロール
  • ライフ・キャリア・レインボー
  • キャリア決定のアーチ

これらはマッチングに限らず全体を包括した理論として今なお生き続けていると感じます。後の数多くの理論家にも影響を与え、私も含めた多くのキャリアコンサルタントが【キャリア≒人生】を謳うのは、このライフ・キャリア・レインボーによるところが大きいと思うのです。

ライフ・キャリア・レインボー

人は生まれた瞬間に「子供」という役割を持ち、そして死ぬまで何らかの役割を持っている。

生まれた瞬間に親にとっての「子供」という役割が始まる。
就学すれば「学生」、就業すれば「社会人(上の図では労働者となっています)」という役割を持つ。それは同時に「教師にとっての児童・生徒(学生)」だったり、「上司にとっての部下」だったりする訳です。
結婚して、パートナーの「夫・妻(家庭人)」となります。「地域コミュニティの一人(市民)」でもあります。子供が生まれれば、その子にとっての「親」「保護者」です。
実親が亡くなれば「子」という役割は外れますね。

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敢えて初回に結論を書いておきますが、キャリアコンサルタントがキャリア理論を学ぶのは、相談者さんのその時その時の悩みに合わせて、有効な展開を処方するためです。医師が病気やその疾患などを学び、薬剤師が薬の効用を学ぶように、キャリアコンサルタントは相談者さんの役に立つためにキャリア理論を学ぶのです。

この話は、明日に続きます。

個人の活性化を組織の活性化に繋げます。

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