キャリア理論って誰のモノ?③ #キャリア的視点 550

こんにちは(^^) キャリアコンサルタントのひだです。今日のテーマは、というより今週のテーマは「キャリア理論」と言った方がいいくらいですね。

キャリアのメジャーな理論家「スーパー」「ホランド」「クランボルツ」「シュロスバーグ」と続いて、今日は「ハンセン」と「サビカス」をご紹介しようと思います。
理論を知ることで、自分がこれからのキャリアをどうしようか悩んでしまった時のヒントになればと思っています。ふわっとした感じでもキャリアを感じてくれたら嬉しいですね~

さぁそれでは、日常に潜むキャリアの種を感じていきましょう。読了時間は3~5分です。

L・サニー・ハンセン

ハンセンは「548」で紹介したスーパーの、特にライフ・キャリア・レインボーの考え方を基に、キャリアを広い意味で定義しました。
人生には仕事上の役割の他にも家庭における役割もあり、その全て

  • 労働 …(仕事)
  • 愛  …(家庭と子育て)
  • 学習 …(公式・非公式な教育)
  • 余暇 …(仕事以外の活動/趣味・コミュニティ)」

が統合されるべきだとしています。
また自身が理想とするキャリア開発は論理的・直線的に考えることができるが、自分ではコントロールできない範囲を認識する必要から、『キャリアプランは螺旋状に進む』と言っているのも特徴的です。

【統合的人生設計】において以下の6つを重要な課題としているのでご紹介します。

  • グルーバルな視点から仕事を探す … 自身の興味だけではなく「私の仕事は誰かの役に立っている」と自覚することが大切。それは「ヤリガイ」に繋がる。
  • 自分の人生を”有意義な全体”として織り上げる … 職業と人生の役割を組み合わせて考えることで、肉体・心・精神の統合も叶う。
  • 家族と仕事を結びつける … 家庭の中で男性と女性が共同でキャリアプランニングを行う必要がある。
  • 多様性と包括性を重んじる … 人種・文化、社会・経済階級、宗教、年齢、税別、身体的能力、趣味嗜好など人は異なる存在であり、違いを包括するべきである。
  • 内面的な意義や人生の目的を探る … 仕事を通して他者や社会に貢献する。および内面的な意義を見出す。
  • 個人の転機と組織の改革に対処する … 各個人が自分自身の人生の変化に対処する術を知ることが必要。

❹で多様性(ダイバーシティ)と包括性(インクルージョン)が謳われているところが目を引きます。組織が個人の集合体であるからには当たり前の話なんですけどね^^;

マーク・L・サビカス

サビカスが2005年に提唱した「構成主義(ナラティブ・アプローチ)」は21世紀にふさわしいと言われています。「人は職業行動と職業経験に意味を付与することで自らのキャリアを構成する」としています。

これまでのキャリア理論と大きく異なっているのは、ナラティブ・アプローチが「主観的」に立っていることでしょう。これまでの数々のキャリア理論は「客観的」であり、仕事に注目していて、適合(マッチング)したらそこで終了しているものが多かったのですが、ナラティブ・アプローチでは仕事ではなく人生に注目し、適合ではなく筋書き作成がまで行い点が新しいのです。

「ナラティブ」とは、物語を意味し、個人個人の人生を物語と見立てて、事象としては変えることのできない過去の「意味合い」「個人の解釈」を変えることで哀しい過去も乗り越えていけるというものです。

「王様が死んだ。その後、女王も死んだ」という変えることのできない出来事を、「王様が死んだ。その後、哀しみのあまり女王も死んだ」と意味を付随させることで、本人の心の中の記憶の、人生に対する意味を追加させるのです。
「あの時の苦労はこの時のためにあった!」と思う事で、本人が立ち直れるのであれば、それはその本人にとってとても意味のあるものになるのではないでしょうか。

その際、キャリアコンサルタントはその物語を誘導することはしません。その役割はストーリーを聴く観客で在り、ストーリーに枝葉を茂らせるための質問をするだけです。物語を語るのはあくまでも本人以外にはいません。

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今回紹介したハンセンやサビカスのあたりから、近代的な理論になってきたように感じます。実際にハンセンの統合的人生設計は1997年に刊行され、サビカスの構成主義は先述の通り2005年の刊行です。

次回はシャインの理論を紹介していきます。

個人の活性化を組織の活性化に繋げます。

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