指示待ち人間を作ったのは、他ならぬ「あなた」ではないか?

目次:指示待ち人間は主体的になるのか?

なぜ、あなたの職場には「指示を待つ人」が多いのか?

「最近の若手は、言われたことしかやらない」 「もっと自分で考えて動いてほしいのだが……」

リーダーや経営者の方々と対話をする中で、こうした切実な声を耳にすることが増えました。特に変化の激しい現代、一人ひとりが自律的に動く組織への期待が高まる一方で、現場では逆に「指示を待つ姿勢」が強まっているようにも見えます。

しかし、ここで一つ立ち止まって考えてみたいことがあります。それは、「指示待ち」という状態は、果たして個人の性格や資質のせいなのだろうか? という問いです。

現場を深く観察していくと、そこにはある種の「見えない契約」のような構造が浮かび上がってきます。上司は責任感ゆえに「失敗させたくない」と丁寧に指示を出し、部下はそれに応えようと「指示通りに動くこと」で安全を確保する。私たちはこの構造を、**「幸せな共依存関係」**と呼んでいます。

「効率」を求める上司と「安全」を求める部下。その幸せな共依存

なぜ、この構造はこれほどまでに強固なのでしょうか。それは、短期的にはこの関係が「双方にとって合理的」に機能してしまう側面があるからです。

上司側の視点に立てば、自分で指示を出した方が早く、ミスも防げます。これは「効率」を追求する上での一つの解に見えます。一方で部下側の視点に立てば、指示通りに動いている限り、もし失敗しても責任を問われることはありません。これは「安全」を確保するための解となります。

誰も悪意を持っているわけではありません。むしろ、お互いが自分の役割を真面目に全うしようとすればするほど、知らず知らずのうちに「自ら考える」という選択肢が組織から消えていく。この「善意による思考停止」の連鎖こそが、現代において組織の生産性を落としかねない原因のひとつ、**「主体性を阻む風土」**になっているのです。

「個人の資質」に逃げてはいけない。問われているのは「組織の風土」

今の時代、私たちが直面しているのは**VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)**と呼ばれる、正解のない世界です。

経済産業省が提唱する「人生100年時代の社会人基礎力」においても、自ら課題を見つけ、多様な人々と協力して解決する能力が重視されています。しかし、こうした**「個人のOS(能力の基盤)」**を磨いたとしても、それを受け入れる土壌が旧来のままであれば、その力は発揮されません。

「主体性がない」と個人を責めるのは、いわば最新のソフトを、互換性のない古いパソコンで動かそうとするようなものです。真にアップデートが必要なのは、個人の能力を支える「個人のOS」、そしてそれらを包み込む**「組織のOS(組織風土)」**そのもの。そう捉え直すことで、初めて解決の糸口が見えてきます。

「指示」を捨てた先に、何が見えるか? —— 自走するチームへの第一歩

では、どうすればこの強固な「依存の構造」から抜け出し、自走するチームに変えられるのでしょうか。

その鍵は、指示を「問い」に変え、失敗を「学習」と捉え直す、組織風土の変革にあります。しかし、長年慣れ親しんだ文化を内側から変えるのは、容易なことではありません。当事者同士では、どうしても無意識に「いつものパターン」に引き戻されてしまう傾向があるからです。

そんな時、第三者の視点を取り入れ、客観的に組織の現在地を映し出すような対話の支援があると、硬直した構造に柔らかな変化が生まれ始めます。

「指示」を少しずつ手放し、部下の「試行錯誤」を見守る余白を作る。そのプロセスを組織全体で共有できたとき、主体性が芽吹き始めます。誰もが悪者にならない形で、共に新しい組織のあり方を探求していく。そんな一歩が、今、求められているのかもしれません。

【出典・参考】

個人の活性化を組織の活性化に繋げます。

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