[人事考課]第4回 「人事評価をどう活用するか」 ― 会社の将来をつくる使い方

※本記事はシリーズの第4回(最終回)です。
第1回〜第3回をお読みいただくことで、より理解が深まります。

・第1回:「企業における“評価”が2つあることをご存じですか?」
・第2回:「人事考課とは何か」― 会社の「現状」をどう捉えるか
・第3回:「人事評価とは何か」― なぜ“将来づくり”が機能しなくなるのか

「分かった」で終わらせないために

ここまでお読みいただいた中で、
・人事考課(査定評価)は現状の確認
・人事評価は将来づくり
という整理は、すでにご理解いただけていると思います。

そして第3回では、主体性や育成が機能しなくなる原因が、評価の「構造」にある可能性に関してお伝えしました。

では、その理解をどう活かすのか。
ここが変わらなければ、現場は何も変わりません。

評価は、「知っているかどうか」ではなく、「どう使うか」で価値が決まります。
最終回では、その「使い方」に踏み込みます。

目次

  1. 「分かった」で終わらせないために
  2. 第1章 評価の全体像 ― 「現状」と「将来」を繋ぐ
  3. 第2章 実務の基本ステップ ― ギャップを埋める設計
  4. 第3章 経営者の意思 ― 育成の起点はどこにあるか
  5. 第4章 主体性を引き出す評価設計
  6. 第5章 結論 ― 評価は「会社の未来そのもの」である

第1章 評価の全体像 ― 「現状」と「将来」を繋ぐ

まず、全体像を改めて整理します。
・人事考課(査定評価)=現状の把握
・人事評価=将来の設計
そして、その目的はこの2つを活用して企業の成長に繋げることです。

ここで重要なのは、評価は単独では成立しないという点です。

「測る → 考える → 育てる」
この一連の流れがあって、初めて意味を持ちます。しかし現実には、「測る」で止まっている企業が多いのが現状です。

現状は把握している。
しかし、その先に進んでいない。

では、その先とは何か。
それが、「将来をどうつくるか」という意思決定です。 

第2章 実務の基本ステップ ― ギャップを埋める設計

では、具体的に何をすればよいのか。

基本となる流れはシンプルです。
① 現状を把握する(人事考課/査定評価)
② 目指す姿を定める
③ ギャップを明確にする
④ 埋める方法を設計する
この4つです。

まず①の現状把握。
ここでは事実ベースで捉えることが重要です。
可能であれば、第2回で触れたような複数視点(360度評価など)も活用し、主観の偏りを減らします。

次に②の目指す姿。
会社として、どのような人材を必要としているのかを明確にします。
この際に「個人スキルマップ」や「部署内人材役割表」などを使ったりしますが、それはまたの機会にお話ししましょう。

③のギャップでは、現状と理想の差を具体化します。
何が足りないのか、どこを伸ばすべきかを言語化する段階です。

そして④の設計。
ここが最も重要であり、多くの企業で抜けている部分です。
教育なのか。
配置なのか。
それとも経験を積ませるのか。
どのように埋めるのかを設計します。

人事考課(査定評価)は「判断」で終わりがちですが、人事評価は設計の先の実行で初めて意味を持ちます。

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第3章 経営者の意思 ― 育成の起点はどこにあるか

ここで一つ、非常に重要な問いがあります。
「どのように人を育てたいのか」

多くの企業では、
「これまでの実績や成果をもとに、誰を高く評価するか」
という視点で人を見ています。

しかし、本来の出発点はそこではありません。

重要なのは、
どのように育ってほしいのか(企業の期待)」と
本人がどうありたいのか(本人の希望)」です。

この2つが重なるところに、初めて意味のある育成が生まれます。

企業の期待だけでは押し付けになります。
本人任せでは方向性がバラバラになります。
だからこそ、この2つをすり合わせる対話が必要になります。

ここが曖昧なままでは、人事評価は機能せず、結果として人事考課(査定評価)中心の運用に戻ってしまいます。

人事評価とは、企業の意思と個人の意思を接続する行為とも言えるでしょう。

第4章 主体性を引き出す評価設計

では、その接続をどのように実現するのか。
鍵になるのが、「目標の設計」です。

多くの現場では、目標は上司から与えられています。しかし、それでは「やらされ感」が増すだけで、主体性が発揮しにくいのが実情です。

一つの参考になる考え方として、目標管理制度(MBO)があります。
これは、上司が一方的に目標を与えるのではなく、本人と対話しながら目標を設定していく手法です。
重要なのは、ここで「納得感」と「関与感」を生み出すことです。

ただし、ここで注意が必要です。
MBOを導入すれば、それだけで人事評価が機能するわけではありません。

あくまで「主体性を引き出すための一つの手段」であり、評価全体の設計の中でどう位置づけるかが重要になります。

例えば、
・どのような目標を設定するのか
・その目標をどう評価するのか
・評価結果をどう次につなげるのか
こうした一連の流れが整っていなければ、形だけの運用になってしまいます。

つまり、目標設定は評価の一部であり、それ単体で完結するものではないと言えますね。

そしてもう一つ重要なのは、「何を評価するか」です。
挑戦を評価すれば挑戦が増えます。
無難な行動を評価すれば無難な行動が増えます。
評価は、行動を生み出す設計でもあるのです。 

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第5章 結論 ― 評価は「会社の未来そのもの」である

ここまで見てきた通り、
・人事考課(査定評価)=現状
・人事評価=将来
・評価=その両方を活用して企業の成長につなげるプロセス
です。

しかし多くの企業では、この流れが分断されているケースが頻繁に見られます。
そして、そもそも一連の流れであるという認識がない企業も多いのが実態です。

現状は把握している。けれども、その先が設計されていない。
だからこそ、育成にも主体性にもつながらないのです。

ここで改めて問いかけます。
あなたの会社では、評価は何のために行われていますか?

過去を整理するためのものなのか。
それとも、未来をつくるためのものなのか。

人事評価は、制度ではありません。会社の将来をつくる意思決定そのものです。

ただし――
ここまで読み進めていただいた方であれば、次の疑問が浮かんでいるかもしれません。

「自社の場合、どこから手をつけるべきなのか」
「現状の制度をどう見直せばよいのか」

評価は考え方だけでは変わりません。
実際の設計と運用に踏み込んで初めて機能します。
そしてその設計は、会社ごとに大きく異なります。

だからこそ難しい。

しかし、だからこそ差がつく領域でもあります。
ここから先は、「どう考えるか」ではなく「どう設計するか」の話になります。

誰と、どの様に設計しますか?

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