[主体性]第5回:主体性を求める前に ― 経営者自身の主体性を問い直す

「社員にもっと主体性を持ってほしい」
経営者や管理職から最もよく聞く言葉のひとつです。

しかし、その言葉を聞くたびに、私は一つの問いを投げ掛けたくなります。
「経営者ご自身は、主体的に組織と向き合っていますか?」

もちろん、社員の主体性は重要です。
しかし、主体性を語る時、どうしても視線は部下や従業員へ向かいがちです。

・なぜ動かないのか
・なぜ提案しないのか
・なぜ指示待ちなのか

そんな話ばかりになります。

ですが、第1回から第4回までお伝えしてきた通り、主体性は個人だけの問題ではありません。

組織風土。
関係性。
心理的安全性。
エンゲージメント。

そうした環境の影響を大きく受けます。

勿論、経営者の皆さんは、企業の将来に責任をお持ちです。「主体的ではない」とは私も考えていません。
ただそれは、「抽象的な会社全体」に対して発動して、「会社を構成するひとつひとつ」に対しては失念されてしまっている様に感じます。

だとすれば、まず問われるべきなのは、組織をつくる側の主体性ではないでしょうか。

今回は、その視点から考えてみたいと思います。

第1章:「社員が悪い」で思考停止していないか
第2章:環境は誰が作っているのか
第3章:経営者もまた、環境の被害者である
第4章:主体的な経営者は「問い」を持っている
第5章:主体性の出発点は、自分自身である

第1章 「社員が悪い」で思考停止していないか

画像

組織で問題が起きた時、
「最近の若手は・・・」
「うちの社員は・・・」
という言葉が出ることがあります。

もちろん、個人に課題があるケースもあります。しかし、その瞬間に思考が止まってしまうことも少なくありません。

なぜ動かないのか。
なぜ発言しないのか。
なぜ挑戦しないのか。

その背景を考えずに、「本人のやる気の問題だ」で結論付けてしまう。
これは主体的な姿勢でしょうか。

主体性とは、自ら目的・目標を立て、考え、判断し、行動することを言います。

つまり、「社員が悪い」で終わるのではなく、「なぜそうなっているのか」を考えることも主体性な考え方なのです。

先の「社員が悪い」と決めつけて考えるのを止めてしまう思考を『他責思考』と言いますが、問題の原因を他人だけに求め始めると、組織改善は止まります。

第2章 環境は誰が作っているのか

画像

第2回では、
「主体性は誰でも持っている。ただ発揮できる状態になっていないだけ」
という話をしました。

もしそれが事実ならば、主体性が発揮される環境を作る責任は誰にあるのでしょうか。

現場でしょうか。
社員でしょうか。
もちろん全員に関係はあります。

しかし、やはり最も大きな影響力を持つのは、経営者です。現場では管理職です。

評価制度。
会議の進め方。
失敗への反応。
情報共有の姿勢。
日々の言葉遣い。
その一つひとつが組織風土を形作っています。

つまり、「社員が主体的にならない」という現象の背景には、経営側が無意識に作っている環境が存在している可能性もあるのです。

ここから目を背けないこともまた、「現実と主体性に向き合う」と言えるでしょう。

第3章 経営者もまた、環境の被害者である

画像

ここで誤解してほしくないことがあります。
私は、「全て経営者が悪い」と言いたいわけではありません。

むしろ逆です。経営者もまた、多くのプレッシャーの中で戦っています。

売上。
資金繰り。
採用。
離職。
顧客対応。
法改正。
将来への不安。
誰にも相談できず、一人で抱えている経営者も少なくありません。

だからこそ、
「管理しなければならない」
「失敗させてはいけない」
という思考に陥ることも重々分かります。

しかし、その結果として、
管理が強くなり過ぎると、人は考えなくなります。
任せられなくなると、人は成長しなくなります。
つまり、経営者自身もまた、環境へ適応してしまっているということなのです。

だからこそ必要なのは、自分を責めることではありません。
まず、自分たちの組織で何が起きているのかを客観的に見ることです。

第4章 主体的な経営者は「問い」を持っている

画像

主体性の高い経営者には共通点があります。

それは、答えを持っていることではありません。
問いを持っていることです。

・なぜ社員は発言しないのか
・なぜ離職が起きるのか
・なぜ改善提案が出ないのか
・なぜ同じ問題が繰り返されるのか

そして、「誰が悪いのか」ではなく、「何が起きているのか」を考え続けています。

主体性とは、自分で立てた目的・目標に対して考えることです。考え抜いて行動することです。

つまり経営者の主体性とは、組織で起きる出来事を他責で終わらせず、自らの責任において問い続ける姿勢とも言えるでしょう。

第5章 主体性の出発点は、自分自身である

画像

ここまで5回にわたり、主体性について考えてきました。

主体性とは何か。
主体性は誰もが持っていること。
主体性の表れ方は人によって違うこと。
主体性は組織との関係性の中で育つこと。

そして今回お伝えしたかったのは、主体性を求める側にも主体性が必要だということです。

社員へ主体性を求めることは簡単です。
しかし、「自分たちはどうだろうか」と問い掛けることは、意外と難しいものです。

だからこそ、主体性の出発点はいつも自分自身にあります。

組織を変える時も同じです。

社員を変えようとする前に、
組織を見直す。
関わり方を見直す。
言葉を見直す。

その積み重ねが、組織全体の主体性へ繋がっていきます。

主体性とは、誰かに押し付けるものではありません。
まず自らが向き合うこと。

そこから全ては始まるのです。

画像
画像

#中小企業経営
#経営者
#組織づくり
#人材育成
#社員教育
#管理職
#マネジメント
#エンゲージメント
#心理的安全性
#主体性
#組織風土
#離職防止
#働きがい
#自走する組織
#企業成長

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA