[リーダーシップ]第4回:組織が「生命体」として目覚める時 ‐ 主体性の先にある景色

シリーズを通してお伝えしてきた、
リーダーの在り方としての「サーバント」
そして、メンバーの状態に合わせて使い分ける「SL理論」

環境を整える存在であるリーダーが、更にメンバーのその時の状況を見極めて関わり方を変える。
それぞれどちらか一方だけでもメンバーからみればありがたいのに、2つを掛け合わせた関わり方をされたら、果たしてどうなってしまうのでしょうか。

これらを積み重ね、仕事がやりやすくなった先に、組織はどのような姿へと変貌を遂げるのでしょうか。

第1章 「担ぐ神輿」から「自走するエンジン」へ

これまで、リーダーの役割を「部下という神輿を担ぐこと」に例えてきました。重い神輿を一人で持ち上げようとすれば、リーダーはいずれ限界を迎えます。
しかし、リーダーが環境を整え、適切な関わり方を続けることで、神輿の中に変化が起き始めます。

それは、少々比喩が過ぎる気もしますが、担がれている側の一人ひとりに「自律」という火が灯り、神輿自体が自らの推進力を持つ「エンジン」へと変化を開始します。

部下が「担がれる客」から「自ら動かす当事者」へと変わったとき、リーダーはもはや、力ずくで神輿を持ち上げる必要はなくなります。

しかし、組織が自律的なエンジンを持ち始めたからといって、リーダーの仕事がなくなるわけではありません。むしろ、ここからがリーダーとしての真の腕の見せ所となります。

エンジンが加わって自走を始めた組織におけるリーダーの役割。
それが、「マネージャー」です。

舵取りに加え、エンジン出力の調整、状況に応じて暴走してしまわない様にメンテナンスを行うマネージャーは、名目上の、肩書上のそれとは異なり、実務としてチームを運用します。

 

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第2章 「健全な摩擦」という目覚めのサイン

組織がエンジンを持ち、自走し始めると、リーダーにとっては予想外の事態が頻発します。主体性が育つということは、一人ひとりが自分の意志で考え、発言し始めるということです。

「社長、その判断は現場の実態とズレています」
「私は、このプロジェクトをもっとこう進めたいんです」

こうした、時にリーダーにとって耳の痛い意見や、部下同士の意見のぶつかり合いが生まれます。

ここで慌てないでください。
これを「反抗」や「乱れ」と捉えて、力で抑え込もうとすれば、せっかく灯った主体性の火は一瞬で消えてしまうでしょう。

正に主体的に仕事に向き合っているからこそ、その責任とやる気の結実として、自分の意見を発信している状態です。

価値観や考え方の違い「深層的多様性」を踏まえれば、同じ意見であることの方が珍しい。つまり、ぶつかり合うのが当たり前なんです。

そこからお互いの意見をすり合わせ、みんながそれぞれに納得できる状態にしていくんです。
ディスカッション(議論)の先に、コンセンサス(合意形成)が決まるのと同じです。

この「健全な摩擦(ディスカッション)」こそが、組織が依存を脱却し、一つの生命体として呼吸を始めた証拠です。

リーダーに求められるのは、この摩擦を恐れるのではなく、コンセンサスを図るために、メンバー一人ひとりの心のエネルギーの噴出を歓迎する度量なのです。

 

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第3章 暴走を防ぐ「北極星」と、リーダーの「新たな挑戦」

個々のエンジンが全開で回り始めると、時に組織全体のベクトルがバラバラになったり、特定の方向に「暴走」したりするリスクも孕みます。
そこで重要になるのが、リーダーによる舵取りです。

このとき、リーダーが指し示すべきは具体的な指示ではなく、組織が向かうべき不変の指標、すなわち「北極星」です。

ビジネスの文脈では、この北極星をパーパス(存在意義)と呼びます。

大海原で船が迷いそうになったとき、北極星が常に同じ場所で輝き続けるように、パーパスは組織が困難に直面した際の究極の判断基準となります。

そして、組織がこの北極星に向かって自走し始めると、リーダーの元には「時間」と「精神的な余裕」という最大の報酬が届けられます。

これは決して、現場を離れて楽をするためではありません。

現場を信頼して任せられるからこそ、リーダーは本来自分がやりたかったことや、次なる事業への挑戦、あるいは組織の未来をより遠くまで見据えるといった、リーダーにしかできないクリエイティブな仕事に全精力を注げるようになるのです。

組織の主体性を育むことは、同時にリーダー自身の可能性を解き放つプロセスでもあるのです。

 

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第4章 これは「完成」ではなく「始まり」に過ぎない

ここまで4回に分けて主体性を基盤とした組織づくりについて考えてきました。

しかし、最後に忘れてはならないのは、主体的な組織に完成形はないということです。

市場が変わり、新たな仲間が加わるたびに、組織は形を変え、新たな摩擦や迷いが生じます。

「自ずから(みずから)」動き出す組織の在り方は、一度到達して終わりではなく、リーダーが絶えず環境を整え、北極星を確認し続けるという終わりのないプロセスそのものです。

組織が自走し始めたとき、その先にはどのような壁が待ち受けているのか。そして、多様な個性が真に一つに溶け合う「チームの統合」とは、一体どのような感覚なのか。

その答えは、リーダーが自らの手で管理という名の杖を手放し、部下の可能性を信じて一歩踏み出した先にしかありません。

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